手戻りは2回まで-建築設計談②
前回の話
今度は前回に続き、スケジュール管理の話をしようと思います。
前回の話はこちら↓
設計課題のスケジュール
設計で一番大変なのが、手直しとスケジュール管理の部分です。今回のテーマは「設計で気をつけなくてはならない時間管理」という感じで解説したいと思います。
学期制度
日本の大学と海外の大学で大きく違う部分は、学期制の違いだと言われています。
セメスター制、または2学期制を採用している大学では、一年間を前期と後期で分け、前期後期共に16週間の必修講義期間を設けています。
日本の教育機関の入学のタイミングは4月春季からですが、海外の大学では9月秋季入学を採用しているところが多いですね。
大型休暇の時期も国ごとに異なるので、注意していきたいところです。
設計講義のスケジュール
建築設計は学期全体を通して執り行われる専攻科目です。基本は、16週間周期、8週間周期でひとつの設計課題を学生はこなさなくてはなりません。
つまり、年間16週周期が採用された場合、2回異なる設計課題を、8週間周期が採用されれば、最大4回の設計課題に取り組むことになります。
また学年全体で1つの設計授業に取り組むケースもあるらしいです。
最も期間の短い8週間設計の詳細を見ていきましょう。
初回講義は設計内容についての解説、資料の配布で、次回からは敷地調査のプレゼン報告、設計内容の分析、エスキスなどの流れに移ります。
4週目には中間発表、8週目には最終発表、講評会などが予定されていますので、1週間に2回授業行われる場合、
- 8週間周期では、全16回の設計授業、13回の設計対面授業、1回初回講義、1回中間発表、1回最終発表
という計算になります。実質13回の設計対面授業で、設計のエスキスや図面の進度を進めていきます。
手直しは2回まで
中間講評会では完成度40~50%の模型と図面を持ち寄り、3~4人の講師と建築家を招き、設計課題を評価するという行事がありますが、設計に重大な欠陥が見つかった場合、講師は学生に対して設計の手直しを提示することがあります。
また、設計に大きな欠陥がなくとも、講師が学生の能力に対して強度の高い要求を提示しても問題がないと判断した場合にも、設計の手直しさせるケースがあります。
設計の手直しとは、基本的には設計に要求される機能と形態が完全に合致していない場合、元の設計形態を破棄して新しく設計することを指しますが、時間が逼迫し、最終成果の完成度が低くなるリスクを孕んでいます。
勿論、講師側も学生に質の高い設計を要求していますので、ほぼ全ての学生が設計の手直しを経験すると思います。
ですが、真に問題なのは手直しのタイミングと、修正範囲。
このタイミングを逸してしまうとどんなに手早く設計したところで、時間がなくなり作品の完成度が低くなります。
さらには修正範囲。そもそも建築設計の中で修正に最も時間がかかる機能や動線分配ですが、これは設計内容が複雑になればなるほど、根幹を解決するのが難しくなります。
機能や動線に大きな欠陥が見つかった場合、最も有効なのは「機能を簡略化するか、1つの建築内の機能を減らす」ことです。
もし中間以降の設計授業では実質3週間しか最終講評までの猶予はありませんので、大規模な手直しをする場合、講評会直後に1回まで、中間前に1回まで、と決めておくとよいでしょう。
時間の管理法
予定通りに進度があれば問題はありませんが、予定通りには進まないのが設計の常です。設計の時間を管理する際に気をつけるのは、「敷地、機能、模型、図面」と4つの作業には十分に時間をかけるのが一番の解決法だと思います。
逆に時間が足りなくなってから、休息返上で徹夜で設計を完成させる、というのは設計の完成度という側面では最悪の選択といえます。
図面の注釈や表記、プレゼンの内容など、最終講評で評価するべき得点項目は、設計の詳細に集中しているため、設計終盤に時間をかけてないことが失点に繋がりやすいのだと思います。
また、
- 創意工夫があり、完全な設計である
- 大して創意工夫は感じられないものの、完全な設計である
- 創作の質は高いものの、完成度が足りていない
- 創意工夫がない上、完成度も足りていない
の4つを比較した際に、上から順に得点を取りやすいという傾向があります。
続きは…
のんびりペースですが、このテーマで少しずつブログを更新していきたいと思っています。